雑踏展

生活音、足音、気配…。様々なベクトルが無数に行き交い、均衡を保つ街の日常に「色」を注ぎ混む。障害のある方々のアートが、出会い、共感、未だ見ぬ刺激を引き起こすトリガーとなる。
やがてそれらは緩やかな波紋となり、広がり、混ざり合い、新たな街の雑踏を作り上げてしまう。

雑踏展とは

2024年10月11日（金）〜10月20日（日）の10日間、山梨県甲府市内の商店街にあるギャラリーやカフェなど複数の会場で、日本各地の障害のある方が制作したアート作品を展示する「雑踏」展 in 甲府 を開催します。本イベントは『山梨県』と『YAN 山梨アール・ブリュットネットワークセンター』が主催し、障害のある方の芸術文化活動を広く周知することを目的としています。雑踏展では、誰もが楽しめる芸術文化の場を創出するため、甲府のまちを巡りながら、作品鑑賞ができるよう駅周辺の店舗内に展示をすることにしました。アートに触れることで、障害の有無に関わらず、垣根を超えたつながりを深めることを目指しています。どうぞ、みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

YAN 山梨アール・ブリュット
ネットワークセンターについて

メッセージ

出展作家

山梨県内外で活躍する10名のアーティストをご紹介。アトリエに伺い、語られた思いや制作風景をご覧ください。

展示会場

山梨県甲府市内のギャラリー、カフェなど6店舗に作品を展示しています。街を歩いて巡りながら作品をご鑑賞ください。

会場周辺地図

…お車でお越しの方 : 各会場に専用駐車場はございません。お近くのコインパーキングをご利用ください。

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  • A

    ギャラリー1045甲府

    甲府市丸の内2-3-2 東横INN甲府駅南口2 1階
    営10:00～18:00
    出展作家：鵜飼 結一朗／金崎 将司／和智 海維人

  • B

    ギャラリー＆レンタルスペースRigel

    甲府市丸の内1-13-6
    営10:00～17:00
    出展作家：奥山 公男／ka na

  • C

    オリオン活版印刷室

    甲府市丸の内1-15-2第5丸銀ビル1A
    営平日13:00～17:30 ／土日10:30～18:00
    休月・木・祝
    出展作家：ノナカ ミホ

  • D

    寺崎コーヒー

    甲府市丸の内1-20-22
    営平日7:30～18:00／土日9:00～17:00
    ※10月15日（火）休み
    ※1ドリンクオーダーご協力をお願いします
    出展作家：柴田 鋭一

  • E

    文化沼

    甲府市中央1-7-14 パリスビル2階
    営13:00～19:00
    出展作家：カズ・スズキ

  • F

    澤田屋本店 2 F「espace・櫻町」

    甲府市中央4-3-24
    営10:00～18:00（※カフェ17:00 L.O）
    出展作家：小林 一緒／坂本 絵里

3Dウォーク

会場に足を運べない方でもお楽しみいただけるよう、画面上で会場内を自由に散策いただけます。

概要

令和6 年度　山梨県『アール・ブリュット魅力発信事業』
（令和6 年度 文化庁 障害者等による文化芸術活動推進事業）
甲府の街とアートを巡る　雑踏展

  • 開催期間

    令和6 年10 月11 日㊎ー10 月20 日㊐10:00−19:00
    ※初日は14:00スタート、会場により開催時間が異なります。

  • 入場料

    無料

  • 主催

    山梨県 、YAN 山梨アール・ブリュットネットワークセンター

  • 後援

    甲府市、山梨県教育委員会、山梨県社会福祉協議会、山梨県障害者福祉協会、 山梨日日新聞社・山梨放送、テレビ山梨、NHK 甲府放送局

  • 制作協力

    クリエイティブギルド「CLICK」（展覧会アートディレクション＆デザイン）
    國重裕太、木村優作、合同会社REUNION STUDIO(空間デザイン、什器制作)

  • 問合せ

    YAN 山梨アール・ブリュットネットワークセンター（瀧澤、新田）

    TEL　0551-45-7027（開催期間外）／070-3813-2567（開催期間中）
    FAX　0551-45-8221
    MAIL　yan@y-meisui.or.jp

CREDIT

Artist

  • 鵜飼 結一朗
  • 金崎 将司
  • 和智 海維人
  • 奥山 公男
  • ka na
  • ノナカ ミホ
  • 柴田 鋭一
  • カズ・スズキ
  • 小林 一緒
  • 坂本 絵里

Artist Partner

  • 山下 完和、棡葉昌大（社会福祉法人やまなみ会 やまなみ工房）
  • 千葉 鉄也（社会福祉法人にじの会）
  • 和智 美恵
  • 丸山 大祐（社会福祉法人三富福祉会　ハロハロ一番館）
  • 上野 玄起（美術家）
  • 宮本 恵美、崔 昌林（社会福祉法人みぬま福祉会 工房集）
  • 鈴木 利子、鈴木 隆志、伊藤 陽子（手織り工房のろぼっけ）
  • 長島 喜一（三郷市障がい福祉相談支援センターパティオ）
  • 坂本 弘美

Exhibition Space

  • ギャラリー1045甲府
  • ギャラリー＆レンタルスペースRigel
  • オリオン活版印刷室
  • 寺崎コーヒー
  • 文化沼
  • 澤田屋本店 2 F「espace・櫻町」

Curator

  • 瀧澤 聰（YAN 山梨アール・ブリュットネットワークセンター）
  • 新田 千枝（YAN 山梨アール・ブリュットネットワークセンター）
  • 横内 心平（YAN 山梨アール・ブリュットネットワークセンター）

Photographer

  • 本杉 郁雲

Translator

  • 百目鬼 あゆみ

Space Design

  • 國重 裕太
  • 木村 優作
  • 合同会社REUNION STUDIO

Total Art Direction & Design
CREATIVE GUILD「CLICK」

  • 篠 鉄平（Art director & Designer & Photographer）
  • 楢畑 彩香（Director）
  • 田中 祐樹（DOP & Edit）
  • 安江 祐汰（Cam）
  • 野呂瀬 亮（Writer）
  • 廣瀬 陶（Web Designer）
  • 高野 一幸（Corder）

Print

  • 株式会社サンニチ印刷

3D Walk

  • 株式会社ソフトメディア

Sponsor

  • 山梨県
  • YAN 山梨アール・ブリュットネットワークセンター

Support

  • 甲府市
  • 山梨県教育委員会
  • 山梨県社会福祉協議会
  • 山梨県障害者福祉協会
  • 山梨日日新聞社・山梨放送
  • テレビ山梨
  • NHK甲府放送局

青柳 正規Masanori AOYAGI

山梨県立美術館館長

「まぎれもない美術、
アール・ブリュット」

現代美術にもっとも影響を与えた美術作品はなにか、というアンケート調査が今世紀初頭、イギリスの500人に上る美術専門家に対して行われた。1位に選ばれたのはマルセル・デュシャンの『泉』だった。『泉』という穏やかな題名ではあるが、どこにでもある陶製の小便器を横に寝かせて “R. Mutt 1917” とサインしただけの作品だった。当時、「美術を侮辱しているだけ」と一蹴する評論家の一方で、鮮烈なショックを受けた多くの評論家は高い評価を与えた。

このような画期的な革新が100年以上も前にすでにあった。しかもダダイズムやシュールレアリスムが台頭する中で、美術の概念はさらに変わっていった。その一つがアール・ブリュットである。伝統的な美術の影響を受けていない人々の美術作品をアール・ブリュットとフランスの画家ジャン・デュビュッフェ（1901〜1985）が命名した。しかし、アール・ブリュットはそれ以外の美術とは大きく異なる特質が一つある。それはアール・ブリュットの作者が自らの作品について多くを語らないということである。このため、作品を見る側の人間が、作品に近づき、作品のもつ寡黙な情報を引き出すことが重要となる。つまり鑑賞する側の感性がより柔軟で敏感であることによってはじめて作品のもつ価値を理解できるのである。その意味では、作者と見る側の人間とのあいだに作品を介して密接な関係を作り上げて、はじめて理解される、双方向の美術といえるのではないだろうか。見る側の感性や認識力自体が試されている美術であるから、アール・ブリュットはその作品を創作した作者の美術であると同時に見る側の人間の美術でもあるのではないだろうか。

青柳 正規

1944年、大連生まれ。古代ローマ美術・考古学を専攻。東京大学文学部教授、国立西洋美術館館長、独立行政法人国立美術館理事長、文化庁長官、東京オリンピック・パラリンピック 文化・教育委員会委員長などを務め、現在、東京大学名誉教授、日本学士院会員、学校法人多摩美術大学理事長、奈良県立橿原考古学研究所所長、石川県立美術館館長、公益財団法人せたがや文化財団理事長、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京機構長、他。50年に亘りイタリアの古代ローマの遺跡発掘に携わる。

国内では、地中海学会賞（1978年）、マルコ・ポーロ賞（1991年）、浜田青陵賞（1991年）、毎日出版文化賞（1993年）、紫綬褒章（2006年）、日本放送協会放送文化賞（2011年）、瑞宝重光章（2017年）などを受賞、文化功労者（2021年）。海外では、イタリア ポルト・エンペドクレ賞（1984年）、イタリア共和国功績正騎士勲章（2002年）、イタリア Sebetia Ter国際賞（2008年）、イタリア Torquato Tasso国際賞（2017年）、イタリア Amedeo Maiuri 国際考古学賞(2021年)を受賞。 著書は、『皇帝たちの都ローマ』、『ローマ帝国』、『文化立国論』、「人類文明の黎明と暮れ方」他。

和田 信太郎Shintaro WADA

やまなし文化立県推進アドバイザー
（本展覧会監修）

「雑踏」を待ちながら

芸術を時間の経験から考えてみたい。例えば、気づくと何時間も作品に釘付けになっていたり、作り手の壮大な時間に触れて言葉を失するほど圧倒されてしまったり、見終わったあと数日間も頭から離れず駆り立てられたり、あるいは数年前に出逢った訳の分からない表現がふとした瞬間に氷解して世界の見方を大きく変えたりすることがある。芸術作品はこうした特別な時間を与えてくれるものであり、言い方を換えると、どのような新しい時間をつくることができるかが芸術の創造性でもある。

一方でインターネットやソーシャルメディアの蔓延化によって、私たちの働き方、あるいは暮らし方までもが根本的に様変わりし、あらゆることが過剰に加速化する世界となっている。タイパ（タイムパフォーマンス）といった時間の効率性や生産性を追求した考え方が溢れ、世界をネタとして発見することが渇望され、その後すぐに忘れ去られてしまう世の中だ。「雑踏」展の作家たちはまったく別のベクトルで独創的な表現によって、世界の豊かさという特別な時間をつくり出している。

「雑踏」展のユニークネスな特徴は、街の人たちとの協働プロジェクトにより表現の場を立ち上げて、街の中に芸術作品＝特別な時間が混ざり合うことの意味を投げかけているところにある。障がいのある方の表現に誰でもアクセスできること、さまざまな人との協働や関わりのもとで社会の中に作品があること、共に街を創り上げていくインクルージョンの実践であること、これは10日間限りの展覧会かもしれないが、甲府の街にその創造性が広がるとき、「雑踏」からコンヴィヴィアル（自立共生）な社会が始まっていく。

和田 信太郎

東京藝術大学大学院映像研究科助教。同時代芸術のプラクティショナーとして、アートプロジェクト企画運営、プラットフォーム構築、ラーニングプログラム開発に取り組む。専門はアートプラクティス、インターメディア。展覧会企画、メディアプロダクション、出版編集、教育文化プランニングなど、プロジェクトベースで活動している。主な仕事として、展覧会シリーズ「残存のインタラクション」企画、「尺度の詩学」企画(Kanzan Gallery, 2017-18)、「ワーグナー・プロジェクト」メディアディレクター(2017-)、オンライン・パフォーマンス「往復朗読」プロデューサー(2020-)、ポエトリーキャンプ「連詩林」プロデューサー(2022-)、ネクスト・クリエイション・プログラム「ゲゲキャン」プロジェクト監修(東京芸術劇場, 2024)がある。アートセンターおよびプラクティショナー・コレクティヴの「コ本やhonkbooks」設立に携わる。RAM Association ディレクター。

2016年度から、山梨県内における障害者芸術文化活動を支援する為、YAN山梨アール・ブリュットネットワークセンターを立ち上げ、2018年度より県の採択を受け「相談支援」「文化芸術活動を支援する人材の育成等」「関係者のネットワークづくり」「発表への支援」「情報収集・発信」等に取り組んできました。 当センターでは、アートカフェミーティングを実施して事業所等を訪問し、助言や情報提供、アート体験ワークショップを行い、ネットワークの構築を進めています。また、障害者の権利保護やアート支援に関する研修会や、障害の有無に関わらずどなたでも楽しむことのできる情報保障を備えたイベントを開催し、一人でも多くの方に芸術文化に触れていただける環境づくりを目指しています。