雑踏展

  • 関根 悠一郎
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  • Yuichiro SEKINE
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  • 《Shut up Monkey!》2017年╱380mm×265mm×490mm╱骨、金属、木

  • 《メイファー・ジェンキンス》 2015年╱130mm×55mm×80mm╱金属

  • 《空翔ぶ魚解剖図》 2012年╱190mm×285mm╱紙、ペン

  • 《バターのとかげと円形劇場》 2013年╱285mm×265mm╱紙、ペン

name for you

 「こうしているのが、自分にとって自然なんだよね」

山梨県甲府市の田園風景に佇む一軒家。その中にあったのは、飾られた絵、立体物、工具、床に散らばる木くず。まるで“生きること”と“作ること”が溶け合い、彼の思考と感覚がそのまま形を持って立ち現れているような空間でした。

年季の入った本棚には、アートや木工にまつわる和洋書が隙間なく収められている

「時間の感覚を捉えるのが難しいんだよね。だからいつからものを作っているのかって、正直わからないかな」 1歳半から呼吸をするようにものを作り続けてきたという彼。クジラの体内に広がる小さな世界や、手の中に握られた地球のような球体を見つめる魚など、作品に描かれるのは、繊細な線と不思議なモチーフの数々。

「立体物と違って絵は難しいよね。緑の葉に垂れる朝露とか、バスタブで耳にする雨音とか、いつか目や耳にした刹那のイメージが自分の感覚と重なる瞬間を待つというか。ふっと様相を帯びてくるそのタイミングを、逃さず捉えないといけないから」

“経過”という流れの外にある彼の心には、まだ形を成していない風景や印象たちが不順序に沈み重なっているのでしょう。そこに描き表されているものは、彼の感性が捉えてきたイメージのコラージュであり、大切に残しておきたいポートレートのようなものなのかもしれません。

家の中全体がまるで彼の作品のよう。国内外の各地で購入した様々な品物も並ぶ

「やってみたいことや学びたいことはたくさんある。だからある意味浮気性なんだよね。でもおかげで『これはこう』って凝り固まらないで済んでるっていうか、選択肢を多く持ててはいるかな」

子どもたちと一緒にパンを焼いたり、野菜を作ったり。自身が主催するアートスクールの話をしている彼は穏やかな表情を浮かべていました。その背景にあるのは、自由な発想を否定せずいつも彼の活動を近くで見守ってきた母・涼子さんと、不安定な時にも言葉なくそばにいてくれた弟・慶介さんの存在。優しく温かいまなざしの中で育まれた自由な感性に、家族もまた救われているのかもしれません。

庭にも山積みの材料が。「使えそうな物はなんでも持ち帰ってしまう」と母は笑う

「みんな名前があると安心するじゃないですか。その方がわかりやすいし、わからないものが怖いから。本来はみんな違うんだけどね。でもこの個性に名前があることで少しだけ理解してもらえることもある。こういう考え方や生き方を“選択肢のひとつ”として感じてもらえると嬉しいかな」

左)涼子さん、慶介さんとともに。家族の存在が今日までの彼を支えている 右)最近は農業についても知識を深めている悠一郎さん。その好奇心が尽きることはない

彼の作品は“答え”ではなく、葛藤のような、あるいは希望のようなもの。静かで力強い眼差しをこちらにまっすぐ向ける彼は、関根悠一郎さんという名の人でした。

PROFILE PROFILE

関根 悠一郎せきね・ゆういちろう

  • 1999年生まれ
  • 山梨県在住

幼少期から卓越した感性を持ち、絵に限らず創作の世界に生きてきた。11歳で精神的な不調により山梨へ転居。その後、極限の苦しみの中で一筋の光を見出し、克服の過程で完成度の高い作品を多く生み出すようになる。12歳から立体作品に取り組み、14歳で実際に乗れる4メートルの舟の制作を決意。だが16歳頃から再び精神の病が悪化し、舟づくりを断念することとなった。この経験を経て、彼は真に「生きる」ということについて根本から見つめ直し、適度な運動、良質な睡眠、日光浴、体に良い食べ物の大切さを再認識。現在は植物や土、菌について学びながら自然菜園や庭づくりを楽しむ日々を送っている。また、世界各地から古道具を集め、独学で修復・研磨し、忘れ去られた道具たちに命を吹き込むことにも喜びを感じている。創作への向き合い方も「何をつくるか」ではなく「どうつくるか」という問いへと変化している。現在は甲府市の自宅工房にて、自身の経験を生かした子供向けの『悠さんアートスクール』を主宰。デザイナーとしても活動の幅を広げ、企業のロゴ制作やワインラベルのデザインなども手がけている。“生きること”に誠実に向き合い続け、創作の「つくりかたからつくる」姿勢を大切にしながら、独創的な作品を生み出し続けている。(母・関根涼子)

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